2005年06月06日

母の悲しみ

先週末から友人が遊びに来たり、
別の友人のお父さんの弔問に行ったりとバタバタしていて
ブログの更新が滞ってしまった。

二子山親方の死去と時を同じくして
以前職場で仲が良かった友人のお父さんが急死していた。
といっても私は恥ずかしながら新聞の訃報欄を見る習慣がないため、
何も知らずにすべて終わってから連絡をもらい、
慌ててお線香を上げに伺ったのだ。
彼女は高校生の時にお母さんも亡くしていてたため喪主を務めたらしい。
しかも4月に赤ちゃんが産まれたばかりだというのにさぞかし大変だっただろう。

彼女の実家に着くと赤ちゃんを連れた友人夫婦と
80歳になるおばあさんが出迎えてくれた。

友人は意外に元気だったが、おばあさんは見るからに元気がなかった。
お線香を上げ、耳の遠いおばあさんに大声で
「おばあさまもお辛いと思いますが、ご自分のお体も大切にしてくださいね」
となどとありきたりなお悔やみを申し上げた。
こういう時はそのくらいしか言葉が見つからない。しかし、
返事が意外だった。おばあさんが目を潤ませながら
「いえ、私はこの子の姉なんです」
と言うのだ。あれ???母親じゃないの?
申し訳ないが、息子の死のショックでどうかしてしまったのか
それともしっかり聞こえていないのか?と思った。
友人はお茶を淹れに台所に行っていたので、確認のため
「おばあちゃまはお父さんのお姉さんなんですか?」
とまた大声で聞いてみた。すると
「そうなんですよ」
と言う。間違いではないらしい。
すると私たちの話を聞いて友人が間に入ってきた。
「ごめん、びっくりさせて。このおばあちゃんは、私も永い間
 おばあちゃんだと思っていたんだけど、実はお父さんのお姉さんだったの。
 面倒だからみんなにはおばあちゃんだってことにしてるんだけど」
と言う。なるほど・・・。

聞けば、亡くなったお父さんの実のお母さん
(つまりおばあちゃんにとってもお母さん)はお産後、
寝たきりになり半年も経たないうちに亡くなってしまったのだそうだ。
そして長女だったおばあさんは、16歳で生まれたての赤ん坊を含む
6人の弟の母親代わりになってしまったらしい。
しかも、その後すぐに戦争が始まり、
小さい弟たちを抱えて空襲の戦火を逃げ回ったのだそうだ。
戦後、子育てしている自分を不憫に思った親戚や父親が
弟たちを養子に出すことを決めたらしいが、自分がどうしても
手放せなかったのだと言う。そこまで聞いたら、私はつい
「おばあちゃまはご結婚は?」
と聞いてしまった。今思うと大変失礼な話だが、やはり生涯独身だった。
家族に自分の青春時代の全てをささげてしまったんだろうということは
容易に想像がついた。胸が詰まった。
「私が言うと薄っぺらいですけど、おばあちゃま、ご苦労なさったんですね」
と言うとおばあちゃまは
「苦労も何も、私はこの子がいくつになっても本当に可愛かったんです。
 なんで私より先に逝ってしまったのか」
と涙をポロポロ流しながら遺影を眺めていた。
私も涙が止まらなくなり、友人と三人でひとしきり泣いてしまった。

葬儀の後、親戚の方々もすっかりみんな引き上げてしまった後の
ぽっかりと空いた時間に訪問したためだろうが、おばあちゃまの
息子(弟)との思い出話と人生を私に2時間話し続けた。
私の友人が嫁に行ってからは、また親子水入らずの二人暮しが
最後に5年間あったことがうれしくもあったが、
その時間のせいで今は余計に今はつらいのだと言う。
私みたいな若輩者は聞くことしかできず、きっと頭で理解している
つもりになっているだけなのだろうが、それでも
どんなことがあっても死ぬ順番が逆になるのは残された親にとって
本当につらいことなんだな、ということを痛感させられた。
おばあちゃまは紛れもなく姉ではなく母だと思った。
友人は私に気を使って何度もおばあちゃまの話を遮ろうと
したが、私が聞くことでもしも気持ちが安らぐならいくらでも
聞かせてもらおうと思っているうちに2時間あっと言う間に過ぎてしまった。

学校では何かというと「命の教育」と言い
日本中あちこちにで実の子供を殺してしまう親が存在し
すぐに「自分らしく」とか「自己実現」とか言う今の時代に
命の重さを語れる人はこういう人なんだろうと思った。

自分のことは全て後回しにした人生を送ってきた女性の言葉は
本当に重かった。
posted by ぐうたら主婦 at 19:21| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぐうたら主婦さん、\(^o^)/こんばんは!
>自分のことは全て後回しにした人生を送ってきた女性の言葉は本当に重かった。
献身という言葉も 死語に近いかもしれませんね。
くまさんことくまボンでした。ではでは(^.^)/~~~
Posted by くまさん at 2005年06月06日 21:06
くまさんこんにちは。
献身という言葉、ホントに今や死語ですね。
無私と言う言葉も今ではありえませんね。
私なんて、誰よりも自分が大好きで
いつも自分のことばっかり考えてる人間なので
こういう人に出会うと本当に反省させられます。

Posted by ぐうたら主婦 at 2005年06月07日 12:19
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